山口・広島紀行6


8月11日(月)
最終日のこの日は尾道と福山へ。早めにホテルを出て、前日は夜だったので、よく見えなかった 三原城の石垣を見に行きました。
石垣が見えるトコは三原駅発のバスやタクシー乗り場があって、 中央の広場にはあんまり目立たない大きさの銅像があります。この広場の名前から推測すると、 小早川隆景に違いないと思って、側に寄ると、やっぱりそうでした。具足を着けた姿ではなく、 装束姿なトコが隆景らしい。私としてはもうちょっと若かりし日の姿がよかったなぁ。
ちなみにこの広場の名前は”隆景広場”と 言います。ワタシ的にはなんてステキなネーミング!って感じですが、そのまんま過ぎ。 甲府駅南口の信玄公の像があるトコも”信玄公広場”とかにすればいいのにとか思っちゃいました(笑)。
三原駅構内の案内板にも書いてありますが、名字無しでイキナリだから、歴史に疎い人とか誰?って 思うに違いない。名字付けても誰って思う人も多いのでは?だって、よく養子の秀秋と 間違えられてるもん。「ああ、あの関ヶ原で裏切った」って。私は毛利家の中でも特に 小早川隆景が好きなので、もう少し知名度があってもいいかなぁと思ってるんですけどね。 隆景ゆかりの三原に来ることができてよかったです。
駅で「ヤッサ饅頭本舗」の「ヤッサ饅頭」と「ゑびす家」の「たこせん」を購入しました。
三原から尾道へ。この旅を計画した段階では尾道へは寄れたら寄ろうと思ってたくらいでした。 旅行好きの知人から瀬戸内に行くんだったら、尾道にも行った方がいいよって言われたのもあり、 時間を半日取って行くことにしたんです。尾道は急な坂が多くて、道も狭いということは 知ってたんですが、お寺が多いことでも知られている町だそうです。
尾道駅からここだけは訪れたいと思っていた浄土寺へは バスで行きました。バスは山陽本線の線路沿いを走るのですが、左手に見える尾道の町は 思ってた以上の急斜面に家が並んでいて、その風景に圧倒されました。
浄土寺は聖徳太子が開基と伝えられ、足利尊氏にもゆかりの ある古刹です。朱塗りの本堂と多宝塔は国宝です。 五重塔や三重塔に比べると二層しかないこともあってか、オリジナリティが あまりないような気がして、多宝塔にはあまり興味がなかったのですが、 白い亀腹のツルッとした感じとか、安定感のあるトコとか、改めて見てみると多宝塔もイイかも。 ここの境内にはハトが多かったです。
浄土寺から後はどこに行くか決めてなかったので、時間が許す限り、地図を見ながら尾道の町を ブラブラすることにしました。 尾道の町は確かに道が狭く、路地って感じ。そして海へと続く道はどこも急な坂道です。 歩き続けの旅の最後に来る町じゃないです(笑)。
重文の本堂と山門がある西郷寺を見て、高校の前で地図を確認していると、作業服を着て、 一休みしてるオジサンたちが「どっち行くの?」「あそこに見えるのが西國寺だから」とか 教えてくれました。「いい町ですね」と言ったら「ええとこじゃろ」とニコニコ。 地元の人とのちょっとした会話って、穴場とか詳しい由来とかを教えてくれたり、いい思い出に なったりするものです。
道なりに歩いていくと右側にとっても大きなわらじが掛かった門が見えました。 巨大わらじの下には参拝者が掛けたわらじがいくつもあります。 ここが西國寺のようです。 このお寺は足に関する願いが叶うお寺なんだなぁと思い、いつまでも健脚で、旅に 出かけられますようにとお願いしようと門をくぐったのですが、目の前には長そうな石段が。 さっき出会ったオジサンが指差してた建物って遥か遠くだったし、疲れてたので、やっぱ、 やめようかなと思ったんですが、ここまで来たし、重文の三重塔はここからじゃ遠くてよく 見えないしと思い直して石段を登りました。結局、そんなに長い石段じゃなかったので、 よかったです。
三重塔は一番奥、更に少し上ったトコにありました。後から知ったのですが、 この西國寺は行基の創建と伝えられる古刹で、三重塔とともに金堂も重文に指定されていました。 西國寺でご朱印をお願いしたとき、「どちらからいらしたのですか?」と尋ねられたので、 「東京からです」と答えると、「まあ、遠いところから・・・」という話になり、パンフレットと 飴までいただきました。それと、かわいいわらじのお守りも購入しました。
西國寺から少し行くとれんが坂というきれいに舗装されている坂がありました。 きれいに舗装されているのですが、やっぱり狭かった(笑)。しかも長くて、 途中で曲がっていて、先が見えないのが、どこに出るんだろって感じで楽しいです。
れんが坂を抜けると以前、タイル小路があった辺りに 出ました。タイル小路は尾道でも有名な観光スポットだったらしいのですが、観光客のマナーの 悪さもあって、シンボルのタイルも撤去されてしまったと新聞で読みました。 今回、初めて尾道を訪れたのですが、尾道の人はとても温かく観光客である私に接してくれました。 町も人もいいこの町で、観光スポットが観光客のマナーの悪さでなくなったというのが とても悲しかったし、一観光客として恥ずかしかったです。
さて、尾道は絵になる景色の多い町です。それはよかったのですが、一つ困ったコトが。 それは用意してきたフィルムがこの旅では写真を撮りすぎて、無くなってしまったというコトです。 せっかく尾道に来たのに、いくら腕前がヘボいとはいえ、写真を撮らずに帰るのはもったいない。 というコトで、早めの昼ごはんのついでにフィルムを買うことにしました。
フィルムをたまたま見つけた写真屋で無事ゲットして、長江通りに向かいました。 長江通りに入って少し行ったトコにまだ11時を過ぎたばかりだというのに行列が。 朱華園という評判の尾道ラーメンの店がありました。ラーメンもいいんだけど、 新鮮な海の幸が食べたいと思ったので、列を横目に少し先にある「由良や」で昼食を 取ることにしました。「由良や」でいただいた定食は煮魚・刺身・天ぷらなどどれも 新鮮な魚を使っていて、普段なかなか食べることのできないものでした。 活きのいい魚って変なクセがないし、歯ごたえが違うんですよね。 前日、昼食を食べず、夕食はコンビ二弁当だったので、今日こそは美味しいもの食べようと 思ってフンパツしてよかったよー!海の幸、サイコー!アリガトー、瀬戸内海!! 大満足の昼食でした。
暑い中、更に伸びた朱華園の行列にどのくらい待ってんだろなと思いながら、時間があったので、 千光寺山ロープウェイに乗りに行きました。ロープウェイ乗り場からは天寧寺の 三重塔(重文)が見え、ロープウェイからは山の中腹にある千光寺が真下に見ることが できました。展望台からは尾道の町が一望でき、尾道水道を挟み、向かいの向島 (シャレじゃないヨ)、 そして更に遠くの島々まで見えます。ホント、瀬戸内海は島が多いよね。
時間があれば、下りは文学のこみちを歩き、千光寺を拝観するのがいいと思いましたが、 この日は下りもロープウェイで。そこから志賀直哉旧居のそばまで歩き、「きりがみ工房」という かわいらしい店で尾道の風景を描いた切り絵の絵葉書を買いました。
店の近所で工事しているトコがあって、狭い道を作業員の人たちが手押し車や手押し式の 小さいキャタピラで材料を運んでいました。道行く人と譲り合って、狭いトコで 仕事をしないといけないのが大変そうでした。あと、杖突いて歩いてるお年寄りを見かけたんですが、 足腰丈夫じゃないとこの町には住めなさそう。
こうして尾道散策を終えて、駅まで戻り、福山へ向かいました。 尾道はすっごい気に入ったので、今度は宿泊してじっくり回ろうと思います。 志賀直哉、林芙美子などの文学者ゆかりの町でもあるので、そういう視点で回ってみても おもしろい町だと思います。
この旅最後の目的地、福山に着くと、雨がポツポツ降ってきました。昨日、夕焼け見られて よかったなぁと思いながら、バス停に行き、案内所でどのバスに乗ればいいのか聞くと、 乗るバスはすぐ来るとのこと。そこでバス停の時刻表を見ると、これを逃すと2時間来ない。 なんていいタイミングでしょう。バスに乗って、芦田川を渡ったトコにあるバス停で 下りました。
芦田川はこの付近の川底から中世の町・草戸千軒町遺跡が発掘されたことで有名です。 歴史の資料集で見たことある人もいるのではないでしょうか。福山駅のそばにある広島県立 歴史博物館では草戸千軒町が実物大で復元されているそうなのですが、この日はあいにく 休館日。機会があれば、行ってみたいところです。
芦田川沿いを歩いていくと、朱塗りの橋と舞台造の建物が見えてきました。草戸稲荷です。 写真で見たより、派手な朱色でした。草戸稲荷を過ぎたところにこの旅の最後にして、 一番の目的地である明王院がありました。深い木々に囲まれて石段の下からは何も 見えないのですが、上ったところには朱塗りの本堂と五重塔が建っていました。
どうして一番の目的だったかと言うと、この五重塔と本堂は国宝に指定されていて、 国宝の五重塔大好きな私がNHKの『国宝探訪』で見てから、行ってみたいとずっと思っていた お寺だったのです。そして、この明王院を訪れたことによってこの旅で 広島県内の国宝建築をすべて見たことになったんです。
明王院に着いたころには雨も止み、今日はツイてる日だと思いました。 ご朱印をお願いして、書いてくださった方とお話しして、東京からの拝観客は珍しいという 話になりました。目的がないとなかなか行けないですよね。
全国でも五番目に古い五重塔をじっくり見て、感動しているうちに、あっという間に時間が 過ぎて、バスの時間が近づいてきました。もっと見ていたいという気持ちを押さえ、 後ろを振り返りつつ、バス停まで戻りました。
福山からは新幹線で東京へ。いろんな町を訪れ、見たことのなかった国宝建築を見て、 幸せいっぱいの充実した旅は終わりました。


今回の旅は瀬戸内の魅力を味わうことのできた旅でした。 よかったですよ、ホントに。東京方面からは訪れる人は少ないようですが、 山並みも海も穏やかで、でも平地は少なくて、関東とは違う雰囲気が味わえます。 なんと言っても、瀬戸内海はスゴかった。久しぶりですよ、こんなに何かと印象に残った旅行は。
あと、歴史も興味深かったですね。戦国大名毛利氏ゆかりの場所など訪れることができてよかったです。 私が好きな武田氏とは全然異なるタイプなので、比べたりするといろいろおもしろかったです。 広島県内の国宝建築をすべて見られたのも国宝マニアとしてはかなり嬉しかったです。
すっかり瀬戸内にはまってしまったので、カキなどの冬の味覚も食べてみたいし、 蚊もいないし(笑)、今度は季節を変えて冬に行こうと思います。