奈良・国宝巡り
※文中、この色の字は表記がない限り国宝です。
12月17日(土)
朝、ホテルを出発するときに、表を見てみると、雨が降っていました。
予報では寒くても、雨は降らないはずだったので、傘を持っていませんでした。
「これだから、雨女は・・・」ちなみに、今年、日帰りも含めて7回旅行に行ったのですが、1勝6敗。ほぼ、雨。
しかも、毎度結構な大雨。今日は山の中のお寺に行くつもりなので、下手をすれば、雪です。不安に思いつつ、
コンビニでビニ傘を買い、JR奈良駅へ。
JR奈良駅から15分、奇跡的に雨は止みましたが、見える景色が白っぽいのは、気のせいだ、きっと。
加茂駅で下車すると、道路には雪は積もっていませんでした。目指すお寺はここからタクシーです。
「すみません。海住山寺まで」「ああ、ちょっと登れないかもよ」
・・・雪か、雪なんだな。ここまで来たのに!
途中までになるかもしれないけど、と言いつつ、タクシーは出発しました。
急な坂道を登り、タイヤが滑りそうになりながらも、なんとか海住山寺までたどり着きました。よかった!
海住山寺には五重塔があります。境内には自由に入れるようですが、本堂の中にお参りしたい場合は受付を通らなければいけません。
しかし、受付開いてる気配がないんですが・・・。と言うより、工事してる人たちの気配しか感じません。
目的が五重塔でよかったです。五重塔の周りで工事しているようなので、西明寺のときのように、落ち着いて見られないわと
思ったんですが、横から見られました。屋根は雪が積もって真っ白で、塔の赤と相俟って予想よりずっと趣のあるように感じました。
建築は季節によって表情が変わるところがいいんですよね。参拝客がいないので、じっくり塔を見ることができました。
しかし、完全に雪山だ〜。一面、銀世界だ〜。結局、本堂の中には入ることなく、海住山寺を後にしました。
帰りのタクシーでの一コマ。
「この辺は結構雪が降るんですか」「いや、昨日の夜が初雪だよ。そんなに降るところじゃないよ」
・・・ひょっとして、私が来たからなのかな?冬の旅行は、豪雪地帯に行くわけでもないのに、毎回、雪が降ってる気がする。
加茂駅に戻り、今度はバスで浄瑠璃寺に向かいます。浄瑠璃寺の前まで行くバスは本数がとっても少ないので、要注意なんです。
浄瑠璃寺前のバス停を降りると、やっぱり雪が積もってました。
浄瑠璃寺は九体寺とも呼ばれ、その名のとおり、9体の阿弥陀如来が安置されています。
阿弥陀如来を9体も安置しているので、本堂は横に長いつくりになっています。
本堂の前には池があり、その向こうにはかわいらしい三重塔が建っています。
ここでも建物は雪化粧していて、とても風情がありました。
横長のため、受付から入り口がやたら遠い本堂に足を踏み入れると、ずらっと仏像が並んでいます。
入ってすぐのところには四天王立像が立っています。
広目天は東京で、多聞天は京都でそれぞれ拝観していたので、残りの2体も拝観したかったのですが、ようやく実現しました。
彩色がよく残り、重心が安定しているこの四天王立像が一番好きな気がします。
でも、本当は4体まとめて見たいなぁ。
阿弥陀如来坐像は9体とも同じ大きさだと思っていましたが、中央のが大きいんですね。
光背の化仏がたくさんあるのが印象的でした。
本堂の拝観を終え、池越しに三重塔をじっくり眺めます。塔の屋根にも池にも雪が積もっていて、まさに冬景色でした。
参拝客も少なく、静寂な雰囲気が、更に良さを引き立てていました。寒かったですけどね。
三重塔は軒の出が深く、好きなタイプの塔でした。
今度は池をぐるっと周って、近くから三重塔を拝観しました。三重塔を背に振り返ると、今度は池越しに本堂が見えます。
池を境に東の三重塔側が此岸、西の本堂側が彼岸なんだそうです。
バスの時間が中途半端で時間が余ると思っていたのに、結局時間ギリギリまで楽しんでしまいました。
バスに乗り、加茂駅に戻ると、予定を変更して、明日、行く予定だった法隆寺に行くことにしました。
なんとなくなんですが、室生寺に行きたくなってしまったんですよね。大好きなお寺なので、ここまで来たら、
行きたくなってしまったんです。
明日の午後は、早めに京都に行って、ブラブラしようかなと思っていたので、それほど予定を入れてませんでした。
なので、明日の午前中に室生寺に行けたら、行くことにして、今日中に時間のかかる法隆寺に行くことにしました。
旅行の計画を綿密に立ててから行く方なので、現地で計画を変更しようと思ったのは珍しいことです。
それほどの魅力が室生寺にはあるんですよ。
法隆寺駅からすぐの「ゲーブル」で自転車を借りて、いざ出発!
ちょっと雨が降っていて、とっても寒かったのですが、幸運にも雨はすぐ止みました。
快調に走りながら、明日にしなくてよかったと思いました。
これだけの寒さでは、朝8時ごろの道路は凍ってるかもしれないと思ったからです。
不慣れな道をレンタサイクルで走るのは結構危険な行為だと思います。
かつて、飛鳥でレンタサイクルで走ってた修学旅行生が端っこに寄り過ぎて、田んぼに落っこちたのを目撃てから、ちょっとトラウマ。
慎重に自転車で走ること20分。無事に法隆寺に着きました。8年ぶりの法隆寺です。
今回の目的は国宝指定の建築を全て拝観することです。
さすがに、法隆寺です。震えるほど寒いのに、参拝客がたくさんいます。
西院伽藍拝観の受付を済ませ、廻廊から中に入ると、五重塔と金堂に目が釘付けになります。
組物の雲形肘木や卍崩しの高欄など、五重塔と金堂には法隆寺独特のデザインが使われています。
アルカイックスマイルで有名な金堂内部の釈迦三尊像は照明が暗くて、目を凝らしてよく見ないと見えなかったんですが、
前もそうだったかな?
そして、驚いたのが、この日は風が強かったんですが、西院伽藍を回っていると、強弱のある澄んだ金属音が
風が吹く度に聞こえてくるんです。
なんだろう?と思いましたが、すぐに気づきました。五重塔と金堂に付いている風鐸の音です。
私は建築好きなので、建築に風鐸が付いているかどうかは気になる方なんです。
でも、風鐸は装飾だと思っていたので、鳴るとは思いもしませんでした。
考えてみれば、風鈴のような形をしてるので、鳴ることもあるんでしょうけど、今まで幾つも風鐸付きの建築を見てるし、
法隆寺も3度目なのですが、音を聞いたのは初めてです。
風鐸の音は澄んでいて、とっても良い音でした。また、聞いてみたいです。
自転車こぐのは大変だったし、寒さ倍増だったけど、風が強い日に来てよかったです。
大講堂、経蔵、鐘楼、中門、エンタシスで有名な廻廊と西院伽藍の国宝建築をじっくり見て、大宝蔵院に向かいました。
大宝蔵院に行く途中にも、聖霊院、綱封蔵、食堂という国宝建築があります。
これらの建築は側を通ったはずなのに、全然記憶になかったんですよね。いくら国宝と言っても、
やっぱり気に入るかどうかがありますからね。今回は写真も撮ったので、バッチリです。
大宝蔵院には玉虫厨子や夢違観音など有名な宝物が安置されています。
そして、平成10年にできて、今回初めて訪れた百済観音堂には百済観音像が安置されています。
百済観音像は八頭身くらいのスラッとした姿が人気の仏像です。
拝観したことのある法隆寺の仏像では一番好きかもしれません。
東大門を通り、東院伽藍へ。
東院伽藍には八角形の夢殿があります。
袴腰が印象的な鐘楼、虹梁が目立つ伝法堂を眺めて、再び西院伽藍へ。
廻廊を通り越すと、参拝客もまったく見当たらなくなりました。
拝観コースを周るだけでも、2時間くらいかかるので、国宝建築が目的じゃなかったら、絶対来ないだろうといった感じです。
そこに、三経院、更に奥の石段を登ると、八角形の西円堂がありました。
西円堂には薬師如来坐像が安置されていました。
拝観コースから外れたところにも、国宝の建築や仏像があるなんて、法隆寺はおくが深いなと改めて思いました。
最後に南大門を眺めて、法隆寺を後にしました。
法隆寺は白鳳文化や飛鳥文化の仏像や最も古い建築がありますが、残念ながら、私はあまり興味をひかれませんでした。
でも、日本の文化を知るうえで、とても重要な位置にあるので、たまには拝観しに行った方がいいかもしれませんね。
法隆寺から自転車で15分、法起寺に到着です。
法起寺には、法隆寺の五重塔によく似た様式の日本最古の三重塔があります。
以前に一度訪れたことがあるのですが、10年前(そんな前のことか・・・)のことなので、記憶が薄くなりつつありました。
今回は三重塔をじっくり拝観することができましたが、如何せん、寒いのと風が強いので、早々に切り上げました。
法起寺でご朱印を頼んだら、表紙に名前を入れてくださいました。
帰りにバス通りからとお寺を挟んで反対側の農道から、もう一度三重塔を眺めて、駅に向かいました。
レンタサイクルを延長料金がかかるちょっと前に返せたのが、ラッキーでした。
JR奈良駅に戻ると、改札の手前に奈良の観光キャンペーンのポスターが貼ってあり、思わず足を止めました。
雪が積もった石段の上にあるのは、まぎれもない室生寺の五重塔です。
その風景の美しさに、しばしの間見惚れ、明日、雪が降ってるかもしれない室生寺に絶対行くと誓ったのでした。
ホテルに戻って一休みすると、奈良国立博物館に向かいました。この日はちょうど夜間拝観の日だったんです。
途中で、昨日一度は引き返した福引所に行きました。
もし、商品券が当たったら、昨日迷って買わなかったてぬぐいを買えばいいんだと思ったからです。
まぁ、そうはうまくいかないけどね。と思いながら、ガラガラ回すと、お兄さんがかねを鳴らしながら「おめでとうございます」だって。
まさか、イリュージョンじゃないでしょうね。と思ったら、2等の5000円分商品券!
福引でこんなにいい思いをしたのは初めてでした。
そして、東大寺南大門風の金剛力士像と薬師寺東塔の水煙をモチーフにしたてぬぐいをめでたくゲットしました。
調子が悪かったことを忘れるくらいハッピーな気分で、奈良国立博物館に向かったのですが、博物館の前の歩道の暗いこと。
東京が明るすぎるんだろうけど、これは一人で出歩かないほうがいいなぁ、帰りはバスにしようと思いながら、博物館の敷地に足を踏み入れた
その瞬間です。今まで地面があった高さに何もない、落ちる〜!と焦ったら、足はふくらはぎほど沈んだところで、地面に着きました。
ん?暗いので、何にも見えないのですが、どうやら博物館の敷地に入ったら突然現れた側溝に足を踏み入れてしまったようです。
ああ、心臓止まるかと思ったよ。もー、夜間拝観の時くらい明るくしといてよ!
博物館は建物以外はホントに暗くて、入口もよくわからず、ちょっと心細くなるほどでした。
気を取り直して、本館では銅板法華説相図、義淵僧正坐像などを拝観できました。
特に印象に残ったのは薬師如来立像(奈良県・元興寺蔵)でした。
翻波式衣文、割りと好きなんですよね。
新館では「東大寺公慶上人展」「金沢文庫の名宝」という2つの特別展を開催中で、北条実時像や東大寺文書が展示されていました。
この特別展では、東大寺文書が国宝かどうかより、徳川家康や毛利輝元に関連する文書が含まれていたので、見に行きました。
時間がなかったので、パッと見て出てきましたが、江戸時代に東大寺大仏を復興した公慶上人の足跡がわかる特別展でした。
