4月12日の旅
今日は尊敬する武田信玄公の命日。
命日が土・日にあたることなどあまりないので、
今年は是非とも菩提寺である恵林寺に行かねばと思っていました。
ところが、最近、バタバタしていて、疲れがたまっていたらしく、朝起きられなかったのです。
くっそー、9時には塩山駅に着いてる予定だったのに。
家を出たのが9時になってしまった。
仕方がない。特急で行こう。
いつもは絶対特急なんて使わないのに、今日はフンパツしてみました。
たまたま乗ったあずさが臨時だったらしく、自由席もガラガラでした。
車窓から見える山々はところどころ桜色が混じり、春めいていて、
「春山如笑」という信玄公が作った漢詩が自然と頭に浮かびました。
春の甲州は久しぶりで、春の山ってこんな感じだったよねと思ってみたり。
途中、大月駅の手前で見える岩殿山の桜が予想通りいい感じで咲いていて綺麗でした。
どうして予想通りかと言うと、久しぶりと言いつつ、一時、毎年今頃、山梨に
行ってたときがあったので、花の時期をすっかり覚えてしまっているんですね。
例えば、大月は東京より寒い分、東京より1週間から10日遅れで桜が咲いて、
峡東の桃はだいたい4月の中旬くらいから見ごろだとか。
昔とった杵柄というところでしょうか(自画自賛)。
桜と言えば、勝沼ぶどう郷駅の桜も満開で綺麗でした。
久しぶりの春らしい山の景色に気を取られているうちに塩山駅に到着。
恵林寺まではバスで・・・と思ったら、お昼どきってバス
使う人いないらしく、2時間待たないとバスが来ない。
それじゃあ、あずさで来た意味ないじゃん!ってなコトでタクシーに・・・
乗らないのが私なんだなあ。確か恵林寺まで4キロくらいだったよな。
こういう時はブラブラしながら歩けばいいのさ。
地図を持ってない。でも恵林寺までの道はわかりやすかったハズ。
なので、テクシー(つまり徒歩)に決定!
地図(観光案内所に聞いたけど在庫切れ)もガイドブックもない状態で歩くことにしてしまった。
それでもどうにかなると思ったのは、何度も来てる勝手知ったるトコだったから。
京都や奈良では何度訪れていてもちょっと不安を覚えて、塩山はホント久しぶりなのに・・・
故郷同然の土地って感覚を持っているのとそうでないのとはこんなに違うんだなあと
実感しました。まあ、道も単純ですけどね。
恵林寺に行く途中、菅田天神社というそれほど大きくない
どこにでもありそうな感じの神社があります。でも、この神社には武田家ゆかりの宝物が
あるんですよ。楯無の鎧と呼ばれている鎧なんですが、普段は見られないし、今日も
見られなかったんだけど、ここにあるんだなあという実感が持てました。
以前から一度は訪れてみたいと思っていたので、歩きでよかったなあ。
さらに途中で向嶽寺にも寄ってみました。塩山は寺社が多いところで、甲州の鎌倉と
紹介されてたりします。そして、それらの寺社を信玄公が厚く保護してたと言われています。
道路沿いにある畑の桃はまだ満開ではなく、全体的には六分咲きといったところでしょうか。
でも、数だけ考えても圧巻です。ところどころ八分咲きくらいの桃もありました。
時期的にまだ満開にはちょっと早いと思っていたけど、
思っていたより咲いてるトコが見れてよかったです。
桃やその他の春の花を見ながらブラブラ歩いていくと、
いつの間にか恵林寺のすぐそばまで来てました。恵林寺の入り口の門のトコも桜が満開で
とても綺麗でしたが、すごい人と露店で、じっくり見るというワケにもいかなかったです。
今日は恵林寺ではお祭りの日になってるんですね。地元の人からツアー客まで人がとても
多かった。何度も恵林寺に足を運んでいますが、こんなにたくさんの人がいるのは
初めてです。参道にはずらっと露店が並んでいて、通るのが大変でした。
人波をかきわけ、やっと参道を抜けました。その頃、とうとう雨が降ってきました。
参道を抜けたあたりから通路沿いに24将の名前と絵が入った幟が立っていました。
全員分あったのかはわかりませんが、お祭りらしさを演出してました。
四名臣のうち、馬場・内藤・高坂の幟は本堂拝観受付入り口のそばにまとまって立ってたのに、
山県のだけ違うグループに混じって遠いトコに立ってたのが気になりました。山県だけ遠征中!?(笑)
本堂の拝観は参道の賑わいに比べるとそれほど混んでいなかったです。
ちょうど、法要が営まれていました。実際に法要を見ると、今日が信玄公の命日なんだなあと
実感できました。
順路どおりにうぐいす張りの廊下(ここの廊下はホントにキュキョ、キュキョ言って
うるさいくらい)を抜けると信玄公の姿を写したと言われている
不動明王像を拝観することができました。
整っていて、威厳があって・・・久しぶりにいい仏像に会ったって感じでした。
なんと言っても信玄公の姿を写したということで、胸に込み上げてくる思いがありました。
信仰心の薄い私にしては珍しく、心をこめて合掌してしまいました。
不動明王像の拝観の後、順路に従って行くと信玄公のお墓の前に出ました。
お線香を分けていただき、普段は閉ざされている入り口からお墓の目の前まで進みます。
お墓の両脇には生花が手向けられていました。私の前にお線香を手向けていたご老人は
とても熱心で、雨で濡れているというのに、その場に正座して手を合わせていらっしゃいました。
自分の番が来て、信玄公のお墓と向き合ったとき、いろんな思いが胸を去来して、目頭が熱くなりました。
普段、旅先で著名人のお墓を参ったりする方なのですが、こんな気持ちになったのは
初めてで、自分でもびっくりでした。やはり、私にとって信玄公は特別な存在なんですね。
私は正座まではしませんでしたが、長い時間、手を合わせました。
その後、柳沢吉保夫妻の墓の前を通り、夢窓国師が作った庭園を拝観しました。
ちょうどしだれ桜が見ごろでした。そして、頼んでいた朱印を受け取り、拝観を終えました。
朱印と言えば、いま使っている朱印帳は東寺で購入したもので、不動明王の朱印を
書いてもらった記憶しかなかったんです。その後、どこにも行ってないハズだから、不動明王の
朱印つづきで、信玄公も不動明王信仰してたからちょうどいいやと思っていたら、なんと東寺の
後に行ったトコがあったんですよ。どこかと言うと米沢・・・察しのよい方はお分かりでしょうが、
そう、上杉神社で朱印を頼んでたのです。よりによってどうしてこうなるの!!と思ったのは
言うまでもない。恵林寺で朱印を頼むとき、ちょっと、いや、相当頼みづらかった。
私はれっきとした武田贔屓なのに。とほほ。
本堂の拝観を終えて、宝物館に行きました。宝物館では信玄公が佩いていたと伝えられている
太刀と脇差が特別公開中でした。
ひな人形の展示もしていたので、武田関係の展示が少なくて
ちょっと残念でしたが、一人づつ描かれた24将の絵が4枚だけ展示してありました。
ちょうど角のスペースだったので、角を挟んで2枚づつ展示してあったのですが、
板垣信方と山本勘介組はお互い反対を向いてる感じで展示されていて、
山県昌景と高坂昌信組は向き合ってたんですよね。
なんとなく、展示した人のセンスを感じる(笑)。
山県昌景と高坂昌信が特に好きな私にとってはアイコンタクトで作戦会議中って感じが
よかった。このペアは絶対敵に回したくないぞ(笑)。
さて、こうして恵林寺の拝観を終えたワケですが、もう一箇所どうしても行きたいトコがありました。
恵林寺の近くにある放光寺というお寺です。そこには天弓愛染明王像という珍しい仏像があるんです。
以前、恵林寺を訪れたときに寄ったのですが、法事中で入れなかったんですよ。
そうなると、余計に見たくなるというワケでリベンジです。
放光寺までの道は具体的にはわからなかったけど、確かこっちの方だったよねっていう
アバウトな行き方で着きました。門から本堂までの間には花が咲く木がたくさん植えられていて、
見ごろを迎えている花も多く、綺麗でした。
放光寺には天弓愛染明王像の他にも大日如来像、不動明王像、金剛力士像と重文に指定されている
仏像があります。でも、やはり見どころは天弓愛染明王像でした。人と同じような姿をしている
仏像と異なり、六臂なので、腕の配置が複雑で、でも不自然にならないように綺麗に
まとめられていて、特に弓矢を天に向かって今にも放とうとしている様子(普通の愛染明王像は
こういった動作はないので、天弓愛染明王像と呼ばれている)が感じられるトコが素晴らしかった。
あと、顔は憤怒相なんですが、体つきは柔らかく、曲線的な美しさが印象的で、
一見の価値のある像でした。
帰りににお茶とお菓子をいただきました。お菓子がおいしかったので、おみやげに売ってたから、
買っていこうと受付に行くと、なんと『武田氏研究』が置いてあるではありませんか!
しかも、創刊号から最新号までずらっと。
『武田氏研究』は大学で発行している研究冊子で、本屋とかにないんですよね。
ここでお目にかかるとは!販売しているそうなので、目次をチェックすると、どうしても欲しい
のが見つかったので、購入しました。ホント、ここまで来てよかったよ。
そして、「あの林がたぶん恵林寺」みたいなアバウトな歩き方で恵林寺まで戻り、くさもちを購入
してバス停まで行きました。くさもちと言えば、恵林寺の駐車場の脇にある店のがおいしかったのを
思い出し、行ってみたんだけど、休みだったんだよね。残念。でも、今回買ったのもおいしかったです。
帰りはバスに乗って塩山駅に行きました。さすがに往復テクシーはつらいので。
そして、友人からもらったメールによると、石和の方は桃も満開だということなので、
甲府まで行ってみることにしました。塩山あたりより石和の方がちょっと暖かいんだよね。
花ってそういう微妙なトコが影響するんですよね。
東山梨駅あたりから石和温泉駅までの
車窓から見える風景はまさしく桃源郷。久しぶりにこの風景を見ることができて
大満足。最後に見たのがもう、かれこれ10年くらい前なので、すごく懐かしくなってしまいました。
相変わらずの鮮やかな桃色が、妙に眩しくって、ちょっぴり嬉しかったです。
こうして春の甲州日帰り旅行は終わりました。帰りに中央線が人身事故で止まるという
ありふれたアクシデントに遭遇しましたが、無事に家に着いたからまあいいや。
でも、滅多に乗らなくなって、久しぶりに乗ったらこれだよ。ついてな〜い。
最後に私にとって春の甲州は特別なんです。それは信玄公の命日前後に行われる
お祭りが多いことと、今の時期に咲く桃の花が瞼に焼き付いて離れないということが
大きく影響していて、私に春が来たということをすごく強く感じさせてくれるのです。
今回、久しぶりにこの時期に出かけてみて、やっぱり甲州の春は特別でした。
最近、バタバタしていて心に余裕がない生活を送っていて、感覚が狂い気味だったんですが、
この旅でようやく春が来たことを感じることができました。
そして、今回、初めて命日に恵林寺を訪れたワケですが、久しぶりに信玄公の人柄や功績について
触れて、考える時間を持って、信玄公の存在の大きさを再認識しました。
心から尊敬する人のお墓参りをすることができて、ホントよかったです。
読んでくださった皆様、自然に恵まれた甲州の四季はどれも素晴らしいのですが、
行くなら春がオススメですよ。それと桃の花を見るなら、車で行くほうがいいです。
線路の側は住宅地っぽいので、車で桃畑が多いトコに行くとより桃源郷気分が味わえると思います。
ちなみに私は牧丘・塩山方面から一宮・御坂方面に抜ける途中で見た風景が10年経っても
未だに忘れられません。春はやっぱりいいものですね。

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